大学病院で先進医療を経験し、スキルアップしたいという看護師のなかには「慶応義塾大学病院」で働きたいと考えている人も少なくないことでしょう。
母体となっている慶應義塾大学は、福沢諭吉が「慶應義塾」としてスタートしたのが1858年、大学病院の開設のきっかけとなった「慶應義塾医学所」が設立されたのが1890年。100年以上の歴史を有している病院なのです。
年間で80万人以上もの人が利用される大学病院で、1日平均の入院者数をみてもおおむね800人程度おられる状況で、地域の、東京の拠点となっている大学病院であるといえます。特定機能病院としても指定されており、これからもますます注目される病院でしょう。
ここでは、慶應義塾大学病院の評判から、その特徴についてみていきたいと思います。
慶應義塾大学病院とは
慶應義塾大学病院は、東京都新宿区において開設されている病院です。「特定機能病院」や「地域がん診療連携拠点病院」にも指定されており、地域医療のかなめとして期待されている病院です。
詳細情報
【病院の特徴】
特定機能病院
地域がん診療連携拠点病院
医療連携協力医療機関 など
【病床数】
1,044床、入院患者のべ人数:291,603人、平均入院患者数:799人(平成28年度平均)
【診療科目】
内科(循環器、呼吸器、消化器、腎臓・内分泌・代謝、神経、血液、リウマチ・膠原病)、外科(一般・消化器、呼吸器、心臓血管)、脳神経外科、小児外科、整形外科、リハビリテーション科、形成外科、小児科、産科、婦人科、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、精神・神経科、放射線治療科、放射線診断科、麻酔科、救急科、歯科・口腔外科、総合診療科、臨床検査科、病理診断科
【設置されている診療センターや部門】
予防医療センター、血液浄化・透析センター、内視鏡センター、腫瘍センター、輸血・細胞療法センター、スポーツ医学総合センター、漢方クリニック(漢方医学センター)、臨床遺伝学センター、外来免疫統括医療センター、緩和ケアセンター、手術センター、集中治療センター、救急センター、感染症外来、メモリークリニック、周産期・小児医療センター、セカンドオピニオン
採用条件など
慶應義塾大学病院では、定期的に看護師の募集が行われています。新卒者に向けてインターンシップも開催されていますので、卒業見込みの方や気になる人はぜひ参加してみてください。また随時就職説明会も開催されています。日時等については、慶應義塾大学病院の看護師採用サイトをご覧ください。
募集内容は以下の通りです。
【病棟】
日勤:8:00~16:30
準夜勤:15:00~23:30
深夜勤:23:00~8:00
【手術センター】
日勤:8:30~17:00
夜勤:16:00~9:00
※4週8休制
【給与】
4年生大学卒:基本給215,000円、諸手当98,210円、合計(2016年度実績)313,210円
3年卒:基本給199,000円、諸手当 96,390円、合計(2016年度実績)295,390円
昇給:年1回
賞与:基本給の6.4月分 年3回支給(2016年度実績)
その他手当:扶養家族手当、超過勤務手当、通勤交通費補助など
【休日】
4週8休制、祝日、年末年始、記念日、慶弔休暇、子の看護のための休暇、介護休暇など
年次有給休暇:1年目就任6ヶ月後10日、2・3年目14日、4年目以降21日
季節特別休暇:9日
【宿舎】
慶應義塾大学病院が用意している宿舎には次のものがあります。希望者は全員入居することができます。ベッド・ユニットバス・トイレ・キッチン・エアコン・クローゼットなどが備え付けられています。
◎病院敷地内 1棟(全室個室)
◎ワンルームタイプ(病院まで徒歩圏内)
※独身寮
※男性はワンルームタイプのみ入寮可
【看護師への支援制度】
◎子育て支援
産前産後休暇(産前7週間、産後8週間)
育児時間(生後満1歳に達するまで)
育児休職(生後満3歳に達するまで)
子の看護のための休暇
短時間勤務制度
子育て支援ネットワークミーティング
院内保育所
◎休職支援制度
進学休職
育児休職
介護休職
慶應義塾大学病院の内部情報
看護師の業務について
慶應義塾大学病院は、初代の病院長である北里柴三郎博士が提唱した「基礎医学と臨床医学の連携を緊密にし、学内は融合して一家族の如く」という理念を継承して、患者さん一人一人にあった対応を行うことを目指しています。
そのため高い倫理観や看護技術、看護実践を求めており、慶應義塾大学病院が推進している高度急性期医療を実践できる看護師の育成に努めています。急性期から慢性期、末期に至るまで幅広い領域において看護師としての知識や技能を発揮することができるように、「キャリアパス制度」に基づいた看護師教育に力を入れています。
慶應義塾大学病院での現場においては、リーダーを中心としたチーム構成で看護実践を行うことになっており、このチームを「慶応チームナーシング」と呼ばれています。
同じチームには、新人看護師からベテラン看護師まで配置されていて、専門や関心の違う看護師で構成されています。そのため個々の実力をうまく引き出すことで、現場がうまく機能するようになっており、経験の浅い看護師は先輩からさまざまなことを学ぶことができます。
新人看護師には、プリセプターである先輩看護師が教育担当者となり、病棟で必要な技術や知識を学んでいきます。プリセプターは3年目以降の看護師が担当となることが多く、新人看護師の気持ちを理解しながら教育に当たることができます。
プリセプターにおいても、認定看護師など経験を積んだ看護師が指導に当たりますから、指導に不安がある看護師でも安心して指導につくことができます。
このように慶應義塾大学病院では、しっかりとした教育システムのなかで、スキルアップしながら業務に就くことができるでしょう。
残業、休み、有給消化など
残業については、どの部署においても日常的であるといえます。かなりの入院患者数と通院患者数を誇っており、人材が常に充足しているわけではありませんので、仕方がないことかもしれません。日勤では退勤時間が20時くらいになるという口コミも見られます。
また研修や勉強会、委員会活動などについて積極的に行われていますが、これは時間外での活動となりますので、年数を重ねていくたびに大変になっていきます。さらにプリセプターなどになると、新人看護師の対応でさらに帰宅が遅くなってしまいます。
ただしそれだけ忙しい現場であるからこそ、希望休は取得できるように配慮されているといえます。勤務を調整している先輩看護師や師長の裁量にもよりますが、どの部署でも月に数日程度の希望休を申告することができ、おおむね希望通りになっています。1年目の職員は希望を言い出しにくいという雰囲気があるようですが、2年目からはどんどん希望を出しています。
また祝日分の休暇や夏季休暇もありますが、これについても同様です。ほかの看護師と重なっていなければ、問題なく取得できます。夏季休暇など連休については、みんな夜勤明けとつなげるなどして、休みを満喫しているようです。
人間関係はいいの?
大学病院ということもあり、かなり難しい疾患の方や重症の方も多く、その分、覚えなければならない業務が多く、難しい対応が必要な場合も多々あります。そのため現場全体において、必死に食らいついているという看護師が大多数です。
人間関係については、決して悪いものではありませんが、多忙な部署などにおいてはストレスを抱えたまま業務についている看護師も多くいます。そのためイライラしてしまうような場面はどうしてもないとはいえません。
ただし、慶應義塾大学病院のメリットとして教育システムがきちんと整っているといえ、看護師としてのスキルを高めるためにここで就業しているという人も少なくありません。つまり志が高い看護師が多く、必要以上に人間関係が悪化するということはありえないのです。
また現場の看護師は5年目未満の看護師が圧倒的に多く、若い看護師によって支えあいながら現場での業務を行っていきます。同期の職員の多いので、仕事だけでなくプライベートでも仲が良い看護師はたくさんいます。
慶應義塾大学病院の評判からみた転職するメリット・デメリット
転職するメリット
1、慶應義塾大学病院が推進しているキャリアパス制度がかなりしっかりしている
慶應義塾大学病院では、あらゆる疾患をお持ちの患者様に対応できるように、高度な知識と看護技術を持った看護師の育成に取り組んでいます。幅広い診療科があることから、どの診療科においても最新の医療技術を展開できるようにしているのです。
その看護師教育を支えているものが「キャリアパス制度」です。
看護師のレベルに応じた研修が用意されており、そのレベルは5段階に分けられています。新採用された看護師であれば、基礎から救急時、リラクゼーション、フィジカルアセスメントなど、多くの研修内容が整えられています。
現場では、リーダーを中心にしたチーム構成で看護実践が行われていますが、この「慶應チームナーシング」と呼ばれる対応が、看護師のキャリアアップにおいてとても活かされているといえます。
このチームには、新人からベテランまで配置されており、さらに専門や関心の違う看護師も含まれています。つまりチームで対応していくことで幅広い看護実践が可能となり、現場においてうまく機能しています。チームでの対応によって経験の浅い看護師は、深い知識を学ぶことができます。
看護師としてしっかりとした技術や知識を身につけたいという人であれば、確実にスキルアップしていくことができるでしょう。
2、希望休、夏季休暇、年休などがしっかりと取れる体制がある
慶應義塾大学病院では、かなりハードな業務を日々こなしていかねばなりません。そのため息つく暇もなく業務にあたっているという雰囲気が感じられる現場です。だからこそプライベートを充実させなければならないと考えており、休みはしっかりと取れることが特徴です。
基本的に休日は週休二日制ですが、月に数日程度の希望休が申告でき、おおむね希望通りの休みが取れているようです。また休日には、祝日休や夏季休暇、有給休暇もありますが、これらの休みについても、ほかの看護師と調整しながらできる限り希望通りに休みが取得できるように配慮されています。
もちろん1年目の職員はいきなり希望休をどんどん申告するというのはなかなか言いにくいようですが、2年目からはしっかりと希望も申告しています。なかには夜勤明けと夏季休暇をうまく続けてとれるようにして、プライベートを満喫できるようにしているようです。
3、年収ベースでみると高給である
月収ベースでみると、ほかにも高い給料の病院は多いのですが、慶應義塾大学病院は賞与の支給が基本給の6.4月分で年3回支給(2016年度実績)となっており、夜勤手当などを含んだ総支給額ではかなり高給になります。
そのためどれだけ忙しいとしても、スキルアップができ、休みがしっかり取得できるというメリットに加えて給料が良いので、看護師の職場としてはかなり優遇されているといえるでしょう。
転職するデメリット
1、残業がかなり多く、日々の業務では仕事に追い回される
一日の平均入院者数は800名ほどおられる状況で、通院される患者様もかなり多いために、日々息つく暇もないほど業務に追われています。大学病院で、最新の医療技術を常に求められる姿勢もありますから、覚えなければならない業務もかなり多くあります。
日勤であるとしても、退勤時間が20時ごろになるという部署も多く、月の残業時間が30時間を超えることも珍しくありません。またどのような残業においても残業と認められることはなく、場合によっては認められないこともあるようです。
ただ休日はしっかりと取れることができますから、自分自身のプライベートを充実させて仕事に打ち込むことができる環境であることは間違いありません。
2、教育制度によって看護師一人一人の負担はかなり大きい
看護師の目指すべき目標として、自律した姿を求められます。一人一人の経験に応じた看護師の目標がありますので、覚えなければならない業務はかなり多くあります。特に新人看護師であれば、臨床実践力を高めることが目標となります。
経験を重ねる中で、新人看護師を教育するためのプリセプターとなることもあります。常に自分自身の看護業務に加えて、新人看護師のためのOJTに取り組まねばなりませんから、日々2倍の業務量をこなしているように感じることもあります。
また勉強会や研修会、委員会活動においては時間外にて行いますから、これらに関しても負担となってのしかかってきます。そのため負担を感じている看護師は少なくないのです。
まとめ
慶應義塾大学病院で看護師として働きたい人のために、評判など詳細をお伝えしました。
常に最先端医療を目指している大学病院ですから、看護師として学ぶことも多くあり、また独自の教育システムがきちんと整えられていることから、スキルを高めるために就業を希望する人が多くいます。仮に退職することになったとしても、ここで学んだことがとても役に立っていると感じる看護師は少なくないのです。
かなり忙しい仕事にはなりますが、休みがしっかりと取れる雰囲気があり、祝日休、夏季休暇、有給休暇なども取得する看護師が多くいます。うまく休みを活用しながら、プライベートを充実させている人も少なくありません。
さらに慶應義塾大学病院の内部情報を知りたい人であれば、看護師転職サイトに登録することをオススメします。担当コンサルタントが内部情報をしっかりと掴んでいますので、細かな人間関係や上司の性格などを知ることができます。